撮影 2009年10月16日 自宅
紫色の斑紋
撮影 2011年10月26日 自宅
毛に注目

ホトトギス (杜鵑草)

英名:Toad lily  学名:Tricyrtis hirta  ユリ科 ホトトギス属

・ 原産地:日本。耐寒性多年草。
・ 南関東より西、四国や九州の太平洋側に分布。新潟県南部から西の日本海側にも点在。
・ 山野など、日当たりの弱いところに自生する。
・ 花は垂れ下がって咲きますが、明るい場所では立つこともあります。
・ 花の色は紅白色地に赤紫の(注)斑点があります。
・ 花期:9月下旬〜10月上旬。
・ 花茎:3cm〜4cm。
・ 葉腋に2〜3個の花が咲きます。
・ 花は上向きに開きます。
・ 草丈:40cm〜80cm。
・ 茎や葉には毛が多い。茎の毛は上向きにはえています。
・ 花びらにある紫色の斑紋がホトトギス(小鳥)の胸の斑紋と
 似ていることからホトトギスと名付けられたとされている.
・ 学名のhirtaは「短い剛毛のある」という意味で株全体に粗毛が生えているところに由来します。
・ 用途:鉢植え、庭植え
・ 花言葉は「秘めた意志」
・ 9月12日の誕生花

*斑点のないのもあり、シロホトトギスと呼ばれています。
*ユリ科の花だというが、どう見てもユリとは似ていない。
*”ホトトギス”と聞けば小鳥を思い浮かべますが、
  植物にもホトトギスと呼ばれる野草があるのを知ったときは驚きました。


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撮影 2009年9月29日 つくば植物園
タイワンホトトギス

タイワンホトトギス (台湾杜鵑草)

学名:Tricyrtis formosana   ユリ科 ホトトギス属

・ 原産地:日本(西表島)、台湾。
・ 多年草。
・ 山野の半日陰地にみられる多年草。
・ 茎は高さ30cm〜60cmくらい。数枚の葉をつける。
・ 葉は倒披針形、長さ10〜20cm、上面に光沢があり、斑点が入る。
・ 茎の上部で1〜2回枝分かれし、先端にたくさんの花を付けるのが特徴です。
・ 花は淡紫色で、斑点が散生し、萼片と花弁は長さ2cmほど。


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撮影 2009年9月29日 つくば植物園
キイジョウロウホトトギス

キイジョウロウホトトギス (紀伊上臈杜鵑草)

学名:tricyrtis macranthopsis Masam.

・ 原産地:日本:紀伊半島。多年草。
・ 分布:和歌山県・奈良県に自生する。
・ ジョウロウホトトギスに似ているが、葉が細くて光沢があるところで判別できる。
・ 花期は9月下旬から10月上旬。
・ 名前は紀伊半島に生育することから付けられている。
・ ジョウロウホトトギスに似ているが、茎はほぼ無毛で、葉の両側の基部に耳片がある。
・ 茎頂に1〜2個、上部の葉腋に1個ずつ花をつける。
・ ジョウロウホトトギスの変種または亜種という説もある。

*ジョウロウ(上臈)とは、上流の婦人、貴婦人の意味です。


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撮影 2009年10月11日 つくば植物園
サガミジョウロウホトトギス

サガミジョウロウホトトギス (相模上臈杜鵑草)

英名:Siberian iris 学名:Tricyrtis ishiiana (Kitag. & T. Koyama) Ohwi & Okuyama

・ 神奈川県の丹沢山地に自生する。ジョウロウホトトギスに似るが小型。
・ 多年草。
・ 葉は互生、卵状長楕円形で、基部の両側に耳片があり、
・ 葉はキイジョウロウホトトギスに似ているが、花が茎頂に2〜5個、散房状の総状花序につく。
・ 花は9月〜10月。
・ 外花被片の基部に長さ5mm〜6mmの胞状の距があり、葯は黄色である。
・ 花の形と大きさはジョウロウホトトギスやキイジョウロウホトトギスと殆ど同じであるが、
 草丈と葉はこれら2種より一回り小型である。
・ 茎の先に総状花序を作る点がこれら2種と異なる。
・ 花期は9月。神奈川県の一部に分布している。
・ 名前の由来:自生地からつけられた。



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撮影 2016年10月12日 つくば植物園
キバナノホトトギス

キバナノホトトギス (黄花の杜鵑草)

英名:Siberian iris 学名:Tricyrtis flava Maxim.

・ 九州の宮崎県の固有種で、林の中や林の縁に生える。
・ 多年草。
・ 絶滅危惧植物。
・ 葉の脇から花茎を出し、長さ2〜3cmの黄色い花を上向きにつける。
・ 花被片の内側には紅紫色の小さな斑点がぽつぽつとある。
・ 花被は長さ約2.5cm。花は2日間咲く。
・ 花柄は長さ2〜6cm。
・ 花期は9月下旬から10月中旬。
・ 葉は長い楕円形で、互い違いに生える(互生)。 ・ 葉のつけ根の部分は少し茎を抱く。
・ 葉は濃緑色で、大きいものは長さ20cmに達する。
・ 茎には硬い開出毛(ほぼ垂直に立っている毛)がすこしある。
・ 草丈:草丈は10cm〜30cmくらいである。
・ 実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
・ 名前の由来:黄色い花を咲かせることから。
・ 属名の Tricyrtis はギリシャ語の「treis(3)+cyrtos(曲)」からきている。
  3枚の外花被のつけ根の部分が袋状に曲がっていることから名づけられた。
  種小名と亜種名の flava は「黄色の」という意味である。
・ 花言葉:「夢より素敵な現実」。

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撮影 2014年10月23日 つくば植物園
イワホトトギス

イワホトトギス (岩杜鵑草)

英名:    学名:Tricyrtis hirta var. saxicola

・ 日本固有種。長野県、静岡県に自生。絶滅危惧植物。
・ 温帯の深山の日陰の岩壁やブナの樹上などに着いて垂下って咲く。
・ 多年草。
・ 葉の脇に花を1輪から3輪上向きにつける。
・ 花びら(花被片)は6枚で、斜め上に向かって開く。
・ 花の色:白地に紫の斑点があるのが特徴です。
・ 開花時期は9月から10月。
・ 草丈は40〜100cmくらい。
・ 葉は細長い楕円形で、著しく細くとがり、毛が多く、薄い。互い違いに生える(互生)。
・ 葉の縁にぎざぎざ(鋸歯)はなく、つけ根は茎を抱く。
・ 名前の由来:岩壁などに生えることからつけられた。
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撮影 2019年10月16日 つくば植物園

ヤマジノホトトギス (山路の杜鵑草)

英名:    学名:Tricyrtis affinis  ユリ科 ホトトギス属

・ 日本固有種。
・ 北海道西南部、本州、四国、九州に分布し、山野の林内に生育する。
・ 多年草。
・ 花は茎先と葉腋に1〜2個をつける。
・ 花被片は6個あり、上部が平開するが反りかえらない。
・ 白色で内面に紫色の斑点があり、下部に黄色の斑点がない。
・ 3個の内花被片(花弁)と3個の外花被片(萼)は同長で約2cm。
・ 外花被片の方が幅が広く、外花被片の基部に袋状のふくらみがあり、花被片の外側に細毛が生える。
・ 雄蕊(おしべ)は6個で、花糸は互いに寄り添って立ち、上部で反り返って先端に葯を外向きつける。
・ 花糸に紫色の斑点がない。花柱の先は3つに分かれ、各枝の先はさらに2裂し、粒状の毛があり紫色の斑点がある。
・ 開花時期は8月から10月。
・ 茎は直立し、多少屈曲して高さは30〜60cmになり、斜め下向きの毛が生える。
・ 葉は細長い楕円形で、著しく細くとがり、毛が多く、薄い。互い違いに生える(互生)。
・ 葉の縁にぎざぎざ(鋸歯)はなく、つけ根は茎を抱く。
・ 名前の由来:ヤマジノは「山路の」で、山路でよく出会うことから。
        そして、この花の斑点が、鳥類のホトトギスの胸にある斑点になぞらえてホトトギスという。
* 花被片:(かひへん)は、萼(がく)と花弁を含む。通常、花弁と萼が類似するか、
      又は区別できない場合に、それらをまとめて花被片という。
* 仮糸(かし):下記のデジタル大辞泉で図入りで説明されています。
      表示された図をクリックすると拡大表示されます。

   デジタル大辞泉参照


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ホトトギスの仲間の見分け方
・ 花の中央にオレンジがあれば「ホトトギス」あるいは「タイワンホトトギス」。
・ さらに枝葉に短毛が多ければ「ホトトギス」。
・ 頂点で花枝がよく枝分かれして多くの蕾をつけていれば「タイワンホトトギス」。
・ 中央も紫で花びらが外に直角に近く折れ曲がっているのが「ヤマジノホトトギス」です。    
・ 「ヤマホトトギス」は、花びらが外に折れ曲がるだけでなく、
  もう一度反り返り、花びらの中央が窪み加減です。

その他
・ スルガジョウロウホトトギスは、サガミジョウロウホトトギスよりさらに
 小型となる変種で、全草殆ど無毛である。
  静岡県の一部に分布している。
・ キバナノツキヌキホトトギスは、葉の付け根が茎をぐるっと抱き込んでくっついています。
  茎が葉を貫いているように見えるので 「ツキヌキ」の名前が付けられました。
  宮崎県固有の品種。

ホトトギスの品種
1.黄色の釣り鐘型の花冠を持つグループ。
  ジョウロウホトトギス、キイジョウロウホトトギス、サガミジョウロウホトトギス
2.黄色で、上向きに咲く花を着け、茎に開出毛の出るグループ。
  キバナノホトトギス、チャボホトトギス、タカクマホトトギス、キバナノツキヌキホトトギス。

  これらの2グループは日本固有種です。

3.白色で、上向きに咲く花を付け、茎に斜上する毛の出るグループ。
  ホトトギス、タイワンホトトギス。
4.白又は黄色の花を上向きに咲かせ、茎に斜め下向きの毛の出るグループ。
  ヤマホトトギス、ヤマジノホトトギス、セトウチホトトギス、クマガワホトトギス。

 
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